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「かゆみ」の原因と予防方法! アトピー性皮膚炎の「かゆみ」を薬や保湿剤以外で治す方法はあるのか?

カテゴリ:
美容・健康

「かゆみ」はどうして起こるのか

「かゆみ」に悩まされている人は多いと思います。かゆみは、皮膚に異物が付いた際、異物を取り除こうとする防衛反応の一つです。かゆみは体内の臓器では感じません。「胃が痛い」ということはあっても、「胃がかゆい」ということはありません。痛みとかゆみは異なる神経によって脳に伝えられることが、最新の研究で分かっています。かゆみを伝える神経は「C線維」とよばれる、情報を伝える速度が遅い神経です。痛みを伝える「A繊維」は早い神経なので即座に感じますが、かゆみは痛みよりゆっくり伝わります。かゆみを伝える神経の末端部分は、皮膚の表皮と真皮の境界部近く、つまり皮膚表面にあります。肌が乾燥してくると、通常なら皮膚の表皮と真皮の境界部にとどまっているはずの「C線維」が、体の表面近くまで伸びてきます。外界の刺激に対して「C線維」が敏感になるため、衣服がこすれるなどのわずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。❶皮膚に潤いがなくなるとかゆみが強くなるため、保湿剤やクリームを塗るとかゆみを抑えられますが、皮膚が本来持つ抵抗力を低下させることがありますので、適度な使用に留めることが必要です。

❶順天堂大学
【環境医学研究所】なぜ、かゆい?|かゆみと真剣勝負
https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kankyo_igaku/kayumi/itch.html

「かゆみ」は内臓の不調を表すサイン

「かゆみ」は、身体の異常を知らせるサインでもあります。体内では、かゆみを引き起こすベータエンドルフィンとかゆみを抑えるダイノルフィンが出ています。内臓の働きが低下すると、このバランスが崩れる状態になります。これが、かゆみのメカニズムと考えられています。❶かゆい部分を清潔にしてもかゆみが収まらない場合は、内臓の不調を疑う必要があります。毎日入浴して清潔な状態を保っているにもかかわらずかゆみを覚えている人は、内臓機能の低下を考える必要があります。一次的な対処以外の方法を検討すべきでしょう。冬の時期にかゆみが強くなるのは、皮膚温が低下しているときに見られます。10月下旬から気温が下がり始め、11月になると冬を迎えます。その時期に、冬の装いをしないで外出している、暖房を使用しないで生活する、布団を多めにしない人は、からだが冷たくなっています。また、手足が冷たい人は深部温が低下していることが考えられます。長期間に及ぶと、内臓は体温を維持するために疲労してくることが考えられます。その表れとしてかゆみを感じやすくなると言えます。とくに、肝臓は体温調節に関与していますので、18℃を下回る部屋に長期間滞在している人、冷たい飲食が多い人、アルコールを取り過ぎている人や薬を飲みすぎている人は、肝臓機能が低下してかゆみを引き起こしていることが考えられます。(青字は追加文章です)
かゆみの作用機序に関しては、私が在籍している順天堂大学医学部の環境医学研究所が出している研究結果を参考にしています。詳しくお知りになりたい方は、ホームページをご覧いただきたく思います。❶

「かゆみ」はどうしたら止まるのか

「かゆみ」は皮膚にある痒点(ようてん)で感じます。痛みは痛点(つうてん)で感じます。痛点は痒点のすぐ近くにありますので、かゆみを感じている時に皮膚面を強くこすると、同時に痛みが生じます。痛みが伝達する速度はかゆみより早いため、連続して掻くとかゆみの感覚が伝わる前に痛みが脳へ伝わります。結果的に、かゆみが伝わりにくくなり、かゆみが収まります❶。かゆみを抑えるために皮膚を掻き続けると皮膚を傷付けますので、別な方法を選択する必要があります。良く言われている方法は、かゆい部分を冷やすことや別のことに意識を集中して気を紛らわすことです。冷やすことは有効ですが、体が冷えると免疫力は低下しますので、内臓に疲労がある人は、結果的にかゆみを助長することにつながりかねません。痛点を刺激するという点では、叩く方法があります。気を紛らわすことに繋がりますが、我慢できないほど叩くのではなく、軽い痛みをリズミカルに叩き続けるとかゆみは軽減します。叩く場所はランダムに変えると有効です。痒い部分以外の場所を交えると、さらに効果的です。

また、からだが冷たい人は、外出時に温かめの格好をこころがけ、日常生活する場所の室温を高くすることで、かゆみの防止に役立ちます。室温は、1年中28℃くらいが望ましいと言われています。冬の時期にお部屋でリラックスするときは、25℃から28℃くらいを維持して、くつろげるような服装でいると、かゆみを生じる確率は低くなります。その際は、エアコン等の温度設定に頼らず、自分のいる場所が何℃なのか確認することが大切です。特に、足元の温度が21℃を下回らないようにすると、かゆみは止まりやすいと考えています。

「かゆみ」がある乳幼児に多い便秘 便秘が解消されるとかゆみや湿疹は治ることが多い

「かゆみ」を伴う湿疹で来院される乳幼児の多くは、便秘を伴っています。授乳中は一日7~8回排便します。臨床経験上、人工乳を併用すると一日3~4回、人工乳のみの人は1~2回になると考えます。生後半年以内は、母児免疫があるため、湿疹が出る確率は低いのですが、便通が一日1~2回の場合や2~3日に1回というお子さんは、半年過ぎた頃から、湿疹が出はじめ皮膚にかゆみを覚える場合が少なくありません。大人は、便通一日1回という方が多いので、お子さんが便秘をしているという認識を持たないお母さんが多く見られます。便秘をする原因の一つに、お母さんの体温が低いために母乳が温かくないことが挙げられます。母子ともに体温の上昇に努めることで、便秘が解消され、湿疹やかゆみが消失する例は数多く見られます。

また、お子さんが汗をかいていると、部屋が暑すぎるのだろうと思い、暖房をしないというお母さんの話をよく耳にします。体温が低いと汗をかきやすくなります。動き回っていて汗をかいている場合は、その汗が冷たくなると体温低下につながりますので、すぐ着がえる必要があります。冷たくなった下着を身に付けているとかゆみを誘発します。
じっとしているのに汗をかいている場合は、服装と室温が適合していないと考えます。服を脱がせるのではなく、室温が18℃を下回っていないのか注意する必要があります。暖房をすれば、汗をかかなくなりますので、お試しいただきたく思います。

「かゆみ」に有効なお灸治療 体温上昇に鍼灸治療は効果的

「かゆみ」の病気は、皮膚の局所に現れる場合と全身に現れる場合で、異なる疾患が考えられます。局所のかゆみは、乾皮症、乾癬、接触性皮膚炎(かぶれ)、結節性痒疹、帯状疱疹やアトピー性皮膚炎などが考えられます。全身のかゆみは、腎不全(透析のかゆみなど)、肝疾患(原発性胆汁性肝硬変)、糖尿病、がん、血液疾患(真性赤血球増加症)や皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)などが考えられます。❶強いかゆみが長時間続く場合は、専門医を受診する必要があります。「かゆみ」を感じる部分にお灸をすると、かゆみが軽減または消失します。お灸の熱は強い痛覚を感じるから有効なのではないかと、40年近い臨床経験を通じ、考えています。体温が36℃を超えない人に鍼灸治療を行うと、体温が上昇して湿疹が消失し、かゆみを感じなくなります。鍼灸治療は、内臓機能を正常化する事が出来ますので、かゆみを感じている人に有効です。

乳幼児に現れるかゆみを伴う代表的な病態の一つとして、アトピー性皮膚炎があります。アトピーは、「奇妙なこと」「異常」を意味するギリシャ語「atopos」に由来します。異常な皮膚の炎症を指した言葉です。体調不良を表すサインであり、原因を特定出来ない段階です。アトピー性皮膚炎と診断された人で、薬物を使用していないお子さんは、数回の治療で全く発症しなくなる例が少なくありません。かゆみでお悩みの人は、薬物や保湿剤に代わる医療として、鍼灸治療をご検討戴きたく思います。お近くの鍼灸院や鍼灸師が勤務する医療機関にご相談願います。また、日常の生活を見直す事により、症状の軽減が期待出来ます。清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常生活の健康指導です。生活指導をして戴ける鍼灸院にご相談ください。詳しくお知りになりたい方は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。
また、体温の維持・上昇に、ヨーガ(YOGA)は最適です。運動法、呼吸法や瞑想法を学びたい人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室(YOGA School)にご相談戴きたく思います。

清野充典

東洋医学と西洋医学の融合を目指す鍼灸師・柔道整復師

鍼灸師

清野充典さん(清野鍼灸整骨院)

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